ああ、、おかみさん、おれには耐えられません。仕事も出会いも何もかもが限られ三昧だってことに。
限られた人生という名の悲しみと苦痛
まず、人生は一度きりっていうこと自体がもう苦痛だ。生まれながらのクッ…!ツゥっっ……!!
短気な俺たちはいつも怒ってて、限られた時間がムカつくから、他人や物、ときに神様に八つ当たりして無駄な時間を過ごしてる。
ひとつの会社に就職して、一生そこであくせく働いて、短期な上司に怒られて命を削るのも嫌だった。だから短期のバイトなんかをするんだけど、そこにも短気な奴しかほとんどいなくて、正規雇用と非正規の違いを学ぶことは出来なかった。
「短気は損気」なんて言うけど、この言葉を開発した当の本人でさえ、限られた人生にムカついてるらしく、ときどき俺に対してすごい不機嫌な対応をしてくる。おかげで俺はこんなにも傷つきやすいペンタトニックになってしまった。
音楽みたいに、きっちりと限られたコード進行や限られた弦数・鍵盤数の範囲内でメロディを作ったりするのは割と好きだ。ロゴデザインや俳句みたいなのも同様で、ある種の美学がある。
だが人生とか、仕事とか恋愛ってなると話は別で、どこまで限りがあるのか、どこまで可能性があるのか、それがハッキリしなくて曖昧だから頭が混乱するし、ヤキモキするし、ソワソワするし、浮気性にならざるを得ない。
浮気は悪いことじゃなくて、人生が限られてるのが悪いんだと思う。極悪とさえ思うな。だから浮気性の神様だとか、ホトケノザだとか、おかみさんと浮気するしか選択の余地はないんだと思う。
仕事も辞めていいと思う。就職なんてほんとにゴミで、転職こそが俺たちにとっての天職だと思ってるし、ある意味ロックな生き方だと思ってる。今の時代、ロックンロールっていうのは音楽ジャンルのことではなくて、異性や職業や賃貸を転々としながら転び回って地球軌道を乗っ取ったり、同僚の妻を寝取ったりしながら生きる、そういう生き方のことを言うんだと思う。
マイホームも時代遅れだと思ってる。今すぐオークションに出したほうがいい。そしてキャンピングカーに住むことを強く推奨いたします。どっちにしたって俺たちが家賃を滞納し続けているこの星には限度があって、それでいながら無限にも感じるような、曖昧で不確実な、ワールドワイドでローカルエリアな金木星なのだから。
ある意味、欲求不満な人類がアフリカを出発したその日から、すでにネット社会だったんだと思う。人間なんていつだってデジタルにもアナログにもなりきれない、胡散臭くて虚無的なペペロンチーノなんだろう。
俺は全てになりなかった。この世の全てを体験したかったし、女にもなりたかったし、殺人犯にもなりたかったし、幸せにも不幸にもなりたかった。マンガやアニメでは物足りなかった。貧乏になることも含めて、全てを手に入れたかった。全ての女性と付き合いたかったし、ゲイやレズビアンにもなりたかった。
全てになれないなら、最初から何も無いほうが良かった。いっそのこと生まれて来ないほうが良かったとさえ思う。俺はワガママなんだろうか。
妥協点がわからない。どの辺で妥協すればいいのか、どこがゴールなのか、どこで終わらせたらいいのか。この不確実性に俺は耐えられない。自立した、完全体な人間になる為に、全てになりたい。この世の全てと一体になりたいし、地球とか、宇宙とか、神的なものと同化したい。そうしないといつまでも死ぬまでこの不確実で不完全な苦しみに苛まれ続けてしまう。ああ、苦痛だ。何かが欠如している感覚。死ぬまで満足出来ない苦痛、悲しみ。悲しい、悲しいなぁ
だから人は宗教とか自己啓発本とかで埋め合わせをしようとするんだな。無宗教な俺も本質的にはそうだし、人間なんてみんな宗教家なんだけど、やっぱりそれでも満たされない。俺はワガママなんだろうか。
宗教には2通りあるんだと思う。1つは内なる神を感じるか、もしくは外部の神と対話して(プロセスが違うだけで本質的には一緒なんだろう)完全体を目指すような宗教と、もう1つは完全でない自分のままで妥協する方向性の宗教。許してもらい、自分でもありのままの自分を許す的な、妥協プランの宗教。俺はワガママだから、無宗教を含む全ての宗教に入信しないと満足出来ないと思う。個人的には、神様ってかなりバチ当たりな存在だと思ってる。
そしてそうやって求めれば求めるほど、取り込めば取り込むほど、自分が何者か分からなくなっていき、空虚感に苛まれ続ける羽目になる。
だから最初から何もないほうが良かった。「(この世を)知らぬが仏」っていう感じだ。
御意