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「お互いサマー」制作日記 Day 9〜11 入金祝いの打ち上げ花火

Day 9 (7/31 Mon)

薬が切れたので午前中は精神科へ行った。いつもはチャリで30分くらいかけて行ってるが暑いし、帰ってからまた午後チャリでスタジオに行くのはしんどいので病院には電車で行った。(スタジオ帰りにたそがれながらチャリ漕ぎたいからスタオジはチャリで行きたかった)


待ち時間の間、土曜にレコーディングしたボーカルを整理して不用なファイルは消していった。こういう病院の待ち時間とか、周りに人がいるとそわそわして落ち着かず、キョロキョロして仕事とか読書とか全く出来ずに人生損しまくっているオレだがこの日は人が少ないのもあってそこそこ集中出来た。


いつもは1時間以上待つことが多いがこの日は40分くらいで済んだ。もはや精神科などただの処方箋屋としか思ってないので必要な薬を60日分頼んで早急に切り上げた。医者の方もちゃっちゃと片付けて数をこなそうという意図まる出しだった。まともな精神科医は日本には2人しかいない。


全財産が残り2千円ちょっとしかなく、8月頭にナマポ(生活保護費)が入るまでそれだけでやりくりしなくてはいけなかった。入金日は基本毎月4日だがいつ入るか分からなかった。運が良ければ翌日8/18/2に入るかもしれなかった。つい先月親に借りたばっかりだったし、さすがにもういつあの世へ行ってもおかしくない年金受給者の親に頼るわけにも行かないから、いざとなったら親に借りようとは思わなかった。生活保護なので病院代はタダ(かかりつけ医を登録する必要がある)だった。


そんなわけで本来スタジオなんて行ってる場合ではなかったが、夏の曲だったし、宣伝の仕方によってはリスナー増やせる可能性を持ったポップな曲だったので絶対に早めに完成させたかった。

いったん家に帰り、昼飯はおにぎりとカップラーメンで済ませた。コンビニの普通のおにぎりが170円もすることに今さら気づいてちょっとびっくりした。普通のコンビニは高いからまいばすの100円おにぎりを買った。まいばすけっと最高ですわ(Tポイントも楽天Ptも付かないが)。ちなみにイオンカードは返済不能になって自己破産した。


日差しを避けたかったが早く済ませたかったからスタオジは17時で予約した。


スタジオ代以外は金を使いたくなかったので歌のレコーディングに備える目的も兼ねてタバコを減らし、飲み物も水筒で持参して行った。前回同様、この時間は西日をもろに受けるためグラサンして帽子を深く被ってチャリを走らせた。


すでに半分以上は録れていたが、延長料金も無いので2時間(千円)で仕上げる必要があったので急ピッチで進めた。


前回キーを外したパートをメインで録っているとあっという間に残り時間が少なくなってきた。後は「win-winゼミ」の部分のコーラスだけだったが時間が少なく、テイク数を重ねることは出来なかった。コーラスのメロディは2パターンあって、それぞれ裏声と低い声で計4パターン録る必要があった。さらに厚みをかけるためにそれぞれのパートを2重に重ねるつもりだったが結局時間切れでそこまでは出来なかった。


何はともあれ一応全部録り終えることは出来た。これでもうクソ暑い中スタジオに行く必要がなくなった。(夜にすればいいんだけど予約が録りづらいし最近は夜はメランコリーな気分になってることが多い)


スタオジを出ると暗くなってて、案の定メランコリーに陥った。最近はもう自分の限界というか、妄想やネットと現実の分別がついて、妄想・ネット上・苦手じゃないごく限られた相手の前ではテンション上げたり饒舌になったりもするが苦手な人とか最近増えてる冷めた感じのリアクションとかされると一気にしおれてショボくなったり緘黙になったりして、リアルな対人場面における自分のショボさを完全に悟っちゃったので特にテンションも上がらず、さすがに現実を見なくてはならず、いいかげん他界したくてたまらなかった。


そんなわけでレコーディングの完了をお祝いして飲みに行くみたいな気分でもなく、金も無かったし、まーたオレだけ一人ぼっちかよみたいになるから嫌だった。人と関わりたいが、キャラや顔つきがコロコロ変わるのが恥ずかしくて無理だった。変態な所や幼稚で下品な所(でっかいゲップや屁をこく等)を隠すのもめんどくさかった。


それでも酒は飲みたかったからローソンで発泡酒を買って近くの公園で飲みながらタバコを吸いながら録ったばっかりの歌を聴いた。


その後チャリに乗り、「あーはやく詩にてえわ」という、もう15年間言い続けてるうちに段々と深みと重みが加わってきたセリフをつぶやきながら走ってると突然ドンッ!!という爆音が鳴り響き、やたらと感覚過敏なオレはものすごくビックリして大声を上げてオーバーリアクションした。かつて友達がいた頃はよく友達にオーバーリアクションを引かれたものだ。


雷かと思ったが花火の音だった。近くで花火大会をやってるらしく、祭り好きのADHDの血が騒ぎ、花火が見える辺りまで向かった。酒が入ってたのでいきがって観客に向かって「メリぃ〜クリスマぁ〜す」と呼びかけながらチャリを走らせ、適当な所で立ち止まって一服しながら花火を閲覧していた。近くにあんまり可愛くもないがブスでもない女の子が一人で観戦してたので声をかけたかったが後一歩の勇気が出せず断念した。


一服し終え、人と一緒に群がっている人間たちに嫉妬と憎悪の念を抱きながら国道を走り去って帰路についた。霧のようになって10キロ離れた自宅近辺にも漂う煙の中で、ぼんやりと夏の記憶に浸っていた———

Day 10 (8/1 Tue)

8月に突入し、夏限定の曲の完成が急がれた。週末にはリリースしたかった。


家に居たくない&エアコン代節約のために地区センターBに行って(東西南北4つの地区センを気分によって使い分けている)、レコーディングした曲の編集に取り掛かった。


とりあえずギター、歌共にOKテイクを選別し、タイミングの修正と音量のオートメーション編集をし、トラックごとにリミッターをかけて1本のWAVファイル化する作業をした。コンプレッサーはまだかけなかった。使い方が間違ってるのか、Cubasisのリミッターだと閾値以上のボリュームを強制的にばっさりカットするのが出来ないからリミッターをかけずにエクスポートしてFL mobileに取り込み、FLのリミッターを通して再びCubasisに取り込んだ。この日はこの作業だけで終わった。


午前中は真夏日だったが、午後になると曇りだし、雷雨になった。怖かったがどうしてもタバコが吸いたくなって外に出て、駐輪場の屋根の下まで壁伝いにダッシュで駆け込んだ。郵便配達員がビビりながら雨宿りしてたが同情せざるを得なかった。雷は激しく、かなり近くにも落雷した。常に強迫観念や被害妄想に苛まれている統合失調気質なPTSD患者のオレは100%雷がオレに向かって落ちてくると盲信してしまうのだが、地区センは丘の上に位置してたのでそれがさらに倍増してビクビクしながら一服していた。普通の人間はごく普通に悠然と歩いていて、これだけ図太くて感受性に乏しい神経してたら生きるの楽だろうなと、嫉妬と憎悪の念に駆られていた。


気温もかなり下がり、エアコン不要なくらいだったがエアコンはずっと効いていてかなり寒くなってしまった。夏の曲をレコーディングし終えて8月初日でこれからが本番だ、みたいに息巻いてたのが一気に冷めてしまい、気分はすっかり秋のセンチメンタルなモードに切り替わり、秋の音楽を作りたくなってしまった。


昼飯を買うとついに金が底をついてしまった。夜にはタバコが切れそうになっていた。これを機に完全にタバコを辞めることも考えたが、精神状態を考えるとかえってイライラして思考がまとまらなくなって自暴自棄な行動に出て負のスパイラルに陥りそうだった。作業に集中するのが何物にも増して優先事項だったが、生活保護費はおそらく8/4に入るのでそれまでは家にある飲食物だけで賄ってタバコも我慢する必要があった。PayPaySuicaもプリペイドも残高が無かった。ゆうちょ銀行には920円あったがATMで小銭は降ろせないし連携済みのPayPayにも千円以上からしかチャージ出来ないから明日窓口で下ろそうと考えていたが、別の銀行に400円くらいあった。100(手数料200円くらい)をゆうちょに振り込み、手数料無料でPayPayにチャージ出来た。いやはや小学生並みの経済力である。


PayPay払いでタバコを買い、納豆ご飯を食べながら昔好きで何度も観たティム・ロス主演の「海の上のピアニスト」(1998)を久々に観た。レンタルではなくすでに購入済みだったので金はかからなかった。なぜ急に観たくなったのかはよく分からない。自分の世界から飛び出す勇気がなく最終的には孤独死するピアニストと今の自分を重ねていたのかもしれない。


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Day 11 (8/2 Wed)

一文無しの状態になり、昼飯を買う金すらなかったが米とか缶詰、インスタラーメンはあったので自家製おにぎりと水筒を持参して地区センAに突撃した。


地区センに入る前に一服しながらiPhoneをいじってると生活保護費の入金のお知らせメールが届いた。毎月の基本振り込み日である4日は特に祝日でもなかったのに早めに入金されて命拾いした。ふぅ〜、助かったわい


例によって作業に入るまでに「原チャリと電チャリはどっちが良好なのか」など、今考える必要のないテーマをいちいち取り上げて頭の中の整理に1時間以上費やしてしまった。


ようやく作業に入り、昨日の続きとギターのEQ、左右の位置調整をした。


途中、一見爽やかそうに見えるが相当腹黒くて図々しい、要するにごくありふれた20代後半から30代前半くらいの女が隣の席に座った。季節的に肌の露出が多くて興奮してしまい、「突然抱きついたり突き飛ばしたらどうなるんだろう」と思いながらチラチラ見ていた。生まれ変わったら絶対に発情される側の人間になりたい。


暴力/千力ン衝動をなだめるために近くの公園で一服し、結果的に不要だったおにぎりを食べた。公園には盆踊り用のセットがあり、夏休みソングの制作に対する意欲が少し高まった。


午後は集中して作業出来た。iPadの負荷を軽減するためにまずはギターパートだけミックスダウンしようと思い、ギターの音作りに励んだ。「正解」がないEQ設定にはついつい時間がかかり過ぎてしまうがとにかく週末にリリースしたかったし、どんだけ頑張ってもデモに毛が生えた程度のレベルにしかならないからこだわりすぎないよう意識した。


今までの経験上、200350hz辺りの中低音を抑えるのが必須なことは分かってたから真っ先にそれをやり、中古のショボいアコギと安物の弦の組み合わせなだけに高音が掠(かす)れがちだから8khz以上を下げて3.5khz前後を上げて夏の曲らしくパンチを効かせた。今回もベース無しソングだったので120hz近辺を上げた。ついつい1khz前後を削り過ぎてしまう癖があるが今回はあんまりいじらなかった。中域はボーカルとかぶる部分も多く、取り扱いにいつも悩まされる。歌のコーラスの有無にも影響される。


19時半くらいまで作業をして帰宅した。生活保護費の入金祝いをする気分でもなく、家賃と光熱費に充てる分なのでビールも自粛し、焼酎を炭酸レモンで割って微妙に節約した。


夜飯後も1時くらいまで作業をして寝た。


つづく


🏷️ お互いサマー  音楽制作  生活保護  精神科  映画


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