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「お互いサマー」制作日記 Day 12〜16 季節外れの映画監督

Day 12 (8/3 Thu)

最近は家に居たくなくていつも外に出かけてたがはやく仕上げたかったので家で作業することにした。音作りの作業はかなり音量を上げてやる必要があったから地区センだと音漏れが気になるというのもあった。


ギターの音作りは完了してたのでボーカルのEQを調整した。あんまりいじる必要もなく、歯擦音のカットその他軽くいじるだけで済ませた。


音作りはほぼ出来たのでGarageBandでタンバリンと途中の拍手を打ち込んだ。ドラムを付ける気はもともとなかった。デモではセミの鳴き声がいい味出してたので、セミの声をサンプリングしてタンバリン代わりにすることも考えたが時間をかけたくなかったので却下した。普通にバックグラウンド音として入れたがかなりうるさくて汚くなってしまったのでこれも却下した。


タンバリンを加えて最終ミックス作業をしてるうちに夜になった。さみしさに耐え切れず酒を飲みながら性懲りも無く出会い系の掲示板に書き込みをした。最近はかなりメランコリックで沈んだ状態が続いてるため、今回は冷やかしとかヤリ目ではなくごく普通に共通点のある相手とか生きてるのがつらい相手を募集したところ、プロフ画像無しの30代からメールが来たがめんどくさいから放置していた。


夜は久しぶりに夏の定番映画「スタンド・バイ・ミー」(1986)を観た。この映画の影響で、ロードトリップ風の動画を作るアイデアを思いつき、簡単なスケッチ動画を作った。


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その後夜中まで曲の最終ミックスをし、3時に完成した。曲のアイデアを思いついてから2週間以内に完成出来たので上出来だった。ドラムをつけてたらあと2日かかっていただろう。


Day 13 (8/4 Fri)

地区センBへ行き、カバーアートの制作をした。いつも通り作業開始まで時間がかかった。「互」の文字を使ったアートというアイデアは数日前すでに思いついていたのでとりあえずCurveアプリ(Vectornator)で「互」を作り、それを重ねたり回転させてるうちに太陽を表現しようと思いつき、色合いをいろいろ試していった。


紀伊原ひろ「お互いサマー」のカバーアート制作工程

直線の状態でエクスポートした画像を画像編集アプリに取り込んで回転させるといい感じになった。他にもアイデアはあったがめんどくさいし早くリリースしたかったのでこれを採用することにした。


ほんとは「お互いサマー」ではなく「お互いSUMMER」にしたかったが、配信ストアによってはこういう異なる言語が混在したタイトルは許可されない(特にAppleは厳しい)だろうという懸念があった。時間に余裕があれば一度これで送信して、ダメならタイトル変えて再送信していたが、季節限定の曲なので確実に配信したかったので日本語のタイトルにした。


今度はYouTubeSNS用に動画 (リンク:YouTube)を作る必要があった。人気のない道路でリアル撮影するのが理想だったが、地方まで行かないと難しそうだから却下し、合成ビデオを作ることにした。


unsplash.com で道路画像を探してダウンロードし、制作工程について考えふけった。撮影のためにサンタコスチュームが必要だからAmazonにあった帽子と髭セット(¥1,000)をお急ぎ便で注文した。その後背景動画を制作してこの日は終わった。

Day 14 (8/5 Sat)

「ユニフォームを交換」の部分で使うためのサッカーシャツが必要だったがもうサッカーもフットサルもしなくなって(正確に言うと自分が誰なのか分からないから人と関わりたくなくなり、友達もいなくなって)久しく、持ち合わせがなかったので買いに行くことにした。


髪が伸びててむさくるしかったので撮影前に美容院に行こうと思って電話したが留守だった。しばらくしてまた電話したがダメだった。いつもは土曜開いてるのにおかしいなと思い、買い物に行く途中に立ち寄ったが臨時休業の張り紙が貼ってあった。


スポーツ用品店に行こうとしたが、その前に一応立ち寄ったヨーカドーにアディダスのシャツ(¥3,500)があったからもうこれでいいやと思って買って帰宅した。


サンタ帽はまだ届いてなかったが自然光で撮影したかったので日が沈まないうちに撮影しようと思い、テンションを上げるために酒を飲みながらやることリストを作成した。


家で口パクとエアギターでこそこそと撮影することにうんざりして最近はスタジオで実際に音と声を出して撮ることが多く、緑の布を使ったマクロキー撮影会は昨年秋に歌無し版を公開した「月鏡」以来だった。


いつもは布を窓のカーテンレールにクリップして撮影してたが、けっこう高い位置にあるため足の下の床部分までカバーしきれなかった。全身映す必要がない場合はそれで良かったが、今回はあんまり自己主張せずに路肩で歌ってるというのがコンセプトだったので全身撮影する必要があった。


そこで洗濯物の部屋干し用に置いてある物干しを使うことにした。そのままだと高さが低すぎるからネジをゆるめて限界まで伸ばして使った。邪魔な物をすべて部屋の片隅に追いやった。(この作業がめんどくさいのもスタジオで撮るようにした理由の1つだった)


薬の副作用もあり、だんだんむしゃくしゃし始めたので酒とタバコでイライラを抑えた。


音が鳴らないように弦にセロテープを貼り付け、尻ポケットに入れたiPhoneにつないだイヤホンのコードを隠すために背中から回して装着した。


部屋の隅にある道具入れの3段ボックスを引っ張り出してカメラ(iPad)を置き、HUNTER×HUNTERのコミックで挟んで固定した。


背景無し動画を撮るために自室にセットした緑の布とiPad

狭い部屋の中で全身を撮影するのはかなり苦戦した。3段ボックスを窓際ギリギリまで寄せる必要があった。上下ばっかり気にしすぎて横がはみ出すミステイクも何度かやらかした。むさくるしい髪を誤魔化すために髪を濡らして耳周りと襟足を首筋中央に寄せてスッキリめにさせた。


だんだん日が沈んできてしまい、結局蛍光灯を使うことになってしまったが、白色灯の美白効果で日焼けを誤魔化せるから結果オーライな形にはなった。日も暮れたころ、インターホンが鳴り、サンタ服を着た配送業者がやって来た。


帽子と髭をつけてサンタのパートを撮り終えて部屋を片付け、カレーを作りながら酒を飲みながら出会い系のピュア掲示板に飲み友募集の書き込みをし(反応はなかった)、カレーを食べながら夏に観たい映画にリストアップされていた映画「テルマ&ルイーズ」(1991)を観た。女のことばかり考えているオレとしては女2人の逃避行の物語はなかなか楽しく2回観た。途中出てくるセクハラドライバーのオヤジを見て、「人の振り見て我が振り直せ」という気持ちになり、やはり女とヤリたいなら女性に敬意を払う必要があるんだなと学習した。敬意を払う振りだけしてうまいことヤリまくってる奴もいるようだが、最終的には虚しくなって跡形もなく消えて孤独死する運命にあるから気にしなくていい。


1991年の映画「テルマ・アンド・ルイーズ」
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その後は動画編集はせずにネットサーフィンして寝た。

Day 15 (8/6 Sun)

動画を編集しようと思って昨日撮影した動画を再確認したところ撮り直す必要があるパートが何箇所かあって、結局また面倒な準備と後片付けをする羽目になった。


夏らしく帽子を被って撮影したかったが耳周りの髪がもっさりして不恰好になるから断念した。最初と最後のシーンは麦わらを被るべきだったと後悔してるが麦わらを持ってなかったし金を使いたくなかった。


その後は一日中動画編集に明け暮れた。ついでに3年前にデザインしたビーサンやTシャツの宣伝をしようと思い、当初は動画の途中で登場させる予定だったが景観を損ねるため、動画の最後でまとめて宣伝することにした。余計なエフェクトは使わずに急ピッチで仕上げたが、それでも夜までかかった。


夜はカレーの残りを食べながら今さらながら映画「E.T(1982)を生まれて初めて観た。序盤で主役の子が兄妹にも存在を教えてしまうなど残念なところがあり、途中で寝てしまった。展開も定番な感じだった。当時は新鮮だったのだろうが映像コンテンツが飽和した今となっては凡作に感じる。


1982年のスピルバーグ映画「E.T」
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Day 16 (8/7 Mon)

ようやく美容院が再開したので髪を切りに行った。解離・パニック・過呼吸症状を恐れてなかなか美容院や歯医者など身動き取れなくなる所へは入れないがこの年配の美容師さんは自身でもそういう経験があった人だから理解があって安心出来た。それでもパニック発作はときどき起こり、ビニール袋で鼻と口を覆って深呼吸した。


早い話、本当の自分を隠して良い子ぶってるから神経症状を起こすのだが、そうは言っても世間がそうさせてくれない部分があるし、「全裸で仰向けになってiPadを胸の上に乗せて@vを見ながら小指で千クビをいじって左手で千ンポしごいてます。しかしながら@業界の悪人たちを積極的に応援するつもりもなく、美しい音楽を聴いたり夜の風の匂いを嗅ぐとそういう気持ちは収まり、二度と@を見ないことを誓うのでありますが、しかしながらそんな気持ちも長続きしないのです。人間なんてそんなものですよ。」なんて言えないし、子供がいる人に「人生は苦行だと分かってるのにガキ産むやつって頭腐ってるよなあ」なんてとてもじゃないが言えないので仕方がなかった。


地区センその他のシーンでもそうだが、突然大声をあげそうになるのを抑えるのもつらかった。地区センではときどき階段やトイレに向かう廊下などで大声をあげてる。「たかはし〜!!」みたいに中学生が人の名前を呼んでるように見せかけるのがコツである。


本当の自分といっても、感情もキャラも価値観も急激にガラリと変容してしまうのが本当の自分だからどうにもならない部分もある。多様な個性と関わるのは本当にめんどくさいから個性も性別もなくして全員同一人物になってほしいと思っている。そういう意味では全体主義的なところもあるし、人間誰でも社会主義っぽい一面はあるだろう。


この日の残りで動画を完成させ、YouTubeの説明文の下書きを書いていた。


夜はE.Tの続きを観て屁えこいて寝た。


つづく


🏷️  お互いサマー  映画  YouTube  解離性障害 

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©Hiro Kinohara