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「お互いサマー」制作日記 Day 2 〜3 忘れ去られたイヤホンと夏の思い出


 Day 2 (7/24 Mon)

この日はいろいろと雑用に追われてたので作品作りには着手しなかった。自称くそばばあの人にメールを返すのもめんどくさくなってしまった。30代の方からの返信はなかった。プロフを見ると既に退会していた。金を使わせといて一言も言わずに逃げられてしまった。


Day 3 (7/25 Tue)

この日は午前中からチャリで25分くらいの、けっこう広めの公園に行って一昨日のアイデアを元に作曲をした。夏休みだしガキがいっぱいいるかなと思ったが猛暑と過保護な風潮のせいか少数しかいなかった。暑かったが、風がそこそこ吹いてて不幸中の幸いだった。


例によって午前中はずっとタスクと心配事の再確認を何度も繰り返してるうちに時間が過ぎ去っていった。昨夜「タバコを連続で吸うのはやめよう」と誓ったことも忘れてチェーンスモーキングしてしまったがいつもよりは意識的に本数を減らすことは出来た。


コンビニ弁当で昼飯を済ませ、仕切り直して作曲を始めた。前作「Mina She Knows It」同様、メロディの断片から曲を作ることになったが、すぐにコードを合わせることが出来た。特にサビの部分はありふれた2コードだったから簡単だった。



最初にサビとその前の「汗臭い お互いさま〜」の部分を作り、ヴァース(いわゆるAメロ)部分のコードをつなげていった。この曲はキャッチーで覚えやすいメロディと歌詞を主体にしてるため、変則的なコードとかトリッキーな転調とかは必要としなかった。「Iscream」「Cold Cheese」の時に犯した、季節物の曲をそのシーズンに入ってから着手して季節の終わりにようやくリリースするという失敗を繰り返したくなかったのでシンプルな曲にしてパパッと仕上げ、810日までにはリリースしたかった。


コード部分は1時間とかからず作り上げた。ありふれたコード進行を繋ぎ合わせたシンプルな曲にした。その後メロディが無い部分のメロディを考え、歌詞もほとんど無かったから存在しない言語で歌を合わせて何十回も繰り返し弾き語った。


大部分出来上がったのでさっそく仮レコーディングしようと思ったがイヤホンを家に忘れたことに気づいた。これではメトロノームや既に録ったパートを聴きながら録音出来ない。イヤホンしないとスピーカーから出る音まで録音されてしまう。コンビニのイヤホンは無駄に高くて生活保護のオレには痛い出費だったし、近くに100均もなかった。


何事も極端に捉え、ちょっとしたことで感情が激変してしまうオレは絶望と怒りに全身をワナワナと震わせ、むしゃくしゃして自暴自棄になりかけたが、ギターバッグの中身を再確認すると、前作のレコーディング時に予備で入れておいたiPhone 5sが入っていることに気づいた。電源オフにしてたため、バッテリーもまだあった。サポートも切れて動作も遅くてほとんど使い物にならない5sでさすがにCubasisFL mobileなどのDawアプリを動かすのはきついが、メトロノームを鳴らすことくらいは出来る。


と思いきや、イヤホン無いんだから結局は5sのメトロノームの音も入ってしまうじゃないか、俺は馬鹿だ。と再び絶望的になっていた。音量を下げてシャツの首の裏側部分に挟もうとしたりもしたが上手く行かず、結局5sの方は使わず、いつも愛用してるチューナー兼メトロノームアプリ「TEチューナー」の、テンポに合わせてライトが光る機能を使って音はミュートしてその光に合わせながら録ることにした。


録音アプリのCubasisで録音ボタンを押して、アプリをTEチューナーに切り替えて録音した。あくまでテンポを合わせただけで、タイムライン上での録音開始位置はデタラメだったので録った音をスピーカーで聴きながら位置を修正した。


このやり方だと単にメトロノームに合わせることしか出来ず、既に録った音に合わせるためにはどうしてもイヤホンが必要だったが、この時点ではまだ基本となるコードを弾くだけだったから他のパートの音を聴く必要はなかった。


気づくと公園内は人が増えていたが気にせず録音を続けた。


各セクションのコードを録音し、それらを繋ぎ合わせてギターの仮録音を済ませた頃には17時前くらいになっていたが太陽は依然として燃え盛っていた。

歌を入れたかったので川の河口付近の穴場スポットまで移動することにした。


途中でダメ元でローソン100に寄ってイヤホンを探すとイヤホンがあり、本当は大喜びして店内を叫びながら駆け回りたかったが、日本の風潮やネット時代特有の抑圧的な雰囲気に合わせてボソッと「あ、イヤホンあったわ」と言ってぬか喜びした。店を出るとチャリに乗りながらタバコを吸っている外国人がいたので思わず「Hey」と声をかけて注意したり暴行したくなってしまったが勇気がなかったし、ボーカル録りが何物にも増して先決事項だったため、生き急いだ。ちなみにオレは最近店の店員や動物、その辺の子供に呼びかける時に「Hey!」と言う癖が付いてしまった。洋楽や洋画ばかり視聴してきた影響もあるし、SNSで海外の人間と交流してた影響もある。「てみた」嫌いのオレには日本のネットがキモすぎて何かを検索する時も英語で検索することが多い。まあどこに行っても人間の本質は変わらないのであるが。


道中、Googleのストリートビューカメラを搭載したプリウスが路肩に止まっていて、車内で白人男性の社員がスマホをいじっていた。オレが中途半端な発音で「おっ、ストゥリィービィウ」とつぶやくと白人はこっちを向いたのでオレは敬礼をし、相手も会釈をした。忙しそうだったしめんどくさかったのでそのままその場を離れ、再び生き急いだ。


河口に着いたがまだ太陽は照り付いていたので日が沈むまでは貨物列車が走る高架下でやることにした。時折通る列車の音がうるさくてただでさえ頭の中が騒がしくてパニックに陥るオレはそわそわして身体全体が緊急時の状態になっていたが、大声で歌の練習をするにはかえって好都合な面もあった。


さっき買ったイヤホンを取り出したが、iPhone8に繋げるためのステレオミニ⇔Lightning変換アダプタが必要なのを忘れていた


だがiPhone5sの方ならアダプタなくてもイヤホンがさせる。これを利用して出来ることを考えた。Dawアプリをまるごと動かすのは性能的にもバッテリー的にもさすがにつらい。そこでオレはさっきiPhone8で録ったギターをミックスダウンし、AirDrop5sに送り、それをイヤホンで聴きながら8側で歌を録音することにした。


8Cubasis5sAudioShareで再生(録音)範囲を合わせ、ほぼ同時に再生(録音)ボタンをタップしてループさせながらマルチテイク録音をしていった。


そうこうするうちに日も沈み、20時くらいまで続けた。


帰りは曲と仮録音の完成祝いに吉牛特盛とビールを買い、タバコを5本連続で吸いながら録音した曲を聴いて寿命を縮めていた。


つづく


🏷️  お互いサマー  音楽制作  ギター  タバコ

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