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「お互いサマー」制作日記 Day 4 メロディと歌詞の複雑な関係



Day 4 (7/26 Wed)

昨日は猛暑の中朝から晩まで外に居たし、オレばっかり毎日出かけて隣の引きこもり犯罪者を甘やかすのもなんだし、家がいちばん集中出来るので曲をはやくリリースしたかったオレはこの日は家で歌詞を作ることにした。


まず、この曲を作る発端となった「お互いさま」「口臭い」そして「夏」を言葉のモチーフに、そして破綻したアパートの隣人との関係性や一昨年の秋に出会い系サイトで知り合って少し交際した女性との関係、その出会い系サイト内における男女間の駆け引きと被害妄想(女は男から冷やかしメールその他脅しやセクハラを受けまくる一方で、男性だけが有料であること等)を主なテーマにしていろいろ連想していくことにした。


するとすぐに「持ちつ持たれつ」という言葉が頭に浮かんだ。その背景には最近のオレは生活保護を受けながら好きなことだけやってることに対する罪悪感と葛藤に常に駆られていることがあった。「まあ普通に働けてる大半の奴らはオレみたいにいちいち考え過ぎて鬱になったりSNSでイイネする時もくそ真面目にコンテンツをちゃんと見てからイイネつけたりもしないし、周りを気にし過ぎたりもしないし、解離症状とかもないから別にいいやな。オレも昔は働いてたし今も毎日怠けてるわけではないし、ベーシックインカムの動画を作ってみんなが働かなくて済むシステムを発表したりしてるし持ちつ持たれつ、明日は我が身だ」なんてことを毎日のようにつぶやいている。


オレは時々高級車に痰を吐きかけたり金持ちの家でピンポンダッシュしたりなどしてささやかな復讐劇に興じているが、一方で「こいつらがいるから社会も回っててオレも美味い飯やお菓子、便利な道具とシステムというおこぼれに預かれてるんだな」と思ったりもしている。また、オレみたいに金持ちの家の子供が精神病んだりニートになったり、逆に貧乏家庭の子供がたくましく育って成功者になったりすることはよくある。そこで「社会の上層も底辺も結局は持ちつ持たれつで、両者が揃ってはじめて社会は成り立つ」というテーマも導入することにした。


そこから連想して、ずっと前に書いた外国人労働者(移民)に関する記事を思い出したりして、コンビニで働くミャンマー人のことも取り入れることにした。(曲の4番に収録のため20238月時点では未公開)


「夏」「持ちつ持たれつ」ということから、エアコン使いまくって地球を温暖化させる一方で環境に配慮もする人類が頭に浮かんだ。そこに最近一巻から読み返していた格闘グルメ漫画の「トリコ」(最後のボス?は地球を調理して食べるのが目的だったの影響(食うか食われるか、弱肉強食、飲食店などの要素)も加わった結果、下記のようなメモが出来上がった。


連日の猛暑

地球を冷やしたいけど エアコンつけずにいられない 突然の豪雨 恵みの雨 降りかかる過去の過ち 串焼き屋で雨宿り 今日のつまみは捕食者(恐竜)の子孫


110%の税金を支払って 

生活を保護された絶滅危惧種

今日は日差しが強いから 勝者の陰で一休み

明日は我が身ときどきにわか雨

来世の支度をして一人旅


今日も共食いをしてチカラをつける捕食者

調子に乗って食べ過ぎて食あたり

食い物の恨み

力持ちの捕食者は獲物の背中にもたれ掛かった


ミャンマー製の安い服を着て経済の土台を築く労働者   汗臭い   金持ちなんてクソ食らえ  オレたちはどうせ負け犬   仕事後のビールだけが至福の時間   脱水症状に気をつけながら今日もマーキングに出掛けよう


ガーリックを食べて夏バテしないようにチカラをつけよう   口臭い   お互い様

飲みすぎた金持ちの胃もたれ症候群


そして上述の通り出会い系や男女関係の要素を入れるためにいろいろと連想した。


男を財布としか見れなくなった、金銭感覚がおかしいパパ活くそ女や、いわゆる"割り切り"の関係、婚外恋愛の要素などを入れることにした。最近、知り合いが宝くじを買いまくってることを聞いて宝くじに関する記事も書いてて、その要素も加えた。


ハズレくじを買ってカンパした夏

ケチな当選者に乾杯  ポイントをケチる男と無料利用の女たち  なんだかんだと世の中金よ  高級車に乗って   事故を起こして全てがパー

ケチ臭い  お互い様


オレは定期的にシングルマザーを求めて冷やかし半分でメールを送ったり少しやり取りしているが実際に会ったことはない。自信がないし、内心「こんな世の中に子供の同意もなく子供が不幸になった時の為の安楽死の手段も用意せずに子供を産む奴はバカだ」と思ってるので価値観も合わないしめんどくさかった。だがそういう、自分自身は体験したことがない婚外恋愛的な要素も加えたかった。ちなみに婚外ではないが、彼氏と別れてないのに秘密にしていた女性と付き合った時に、元カレとハチ会って修羅場になったことはあった。


共生関係  ヤドカリ  巻き貝様

お互い干渉しない淡白な関係

平日昼間に宿を借りて 絶賛婚外恋愛中

ライオン夫妻とハイエナの三角関係ヒエラルキー

愛なんていらない  お金がほしい

日焼けして脱皮した  高級ヘビ皮女たち 


さらに、最近一人で居酒屋で飲んでる時に隣の席に居た、おそらく出会い系で知り合ったのであろうホスト風で精神の底が浅そうな男と、見た目はそこそこよく金もそれなりに持ってそうだが内面は空っぽで「自分なんて大した取り柄もないどこにでもいる女」みたいな感じで自信がなく、褒め言葉に飢えているホスト狂いの女のことを思い出し、大抵のホストも実際には自分に自信がなく、だから髪型や服装で着飾ったり酒入れたりして、家庭を持つという責任から逃れて浅い関係で誤魔化してる奴ばっかりだということを考えていたことを思い出し、そういう内容も加えようと思った。


自信が無いから外面だけ着飾って

安っぽい人間関係を築く孤独な夏

シラフでは自信が持てないから

ぼったくり価格の生ビールで乾杯

酒臭い息で接客しよう

今日のお客様はコンビニ店員


「お客様はコンビニ店員」のくだりは、オレが時どき適当にキャラ作りしてコンビニやスーパーの店員の女の子に声をかけている際のマヌケな様子を描いている。


そんな風にオレ自信、ホストみたいな軽薄なところがあり、実際に「ホストみたい」と言われてしまってあんな浅い奴らなんかと一緒にされたことにショックを受けてしまったが、実際オレは知的聡明で物事を深く多角的に洞察する人間である一方で、ものすごく幼稚で軽薄でお調子者な"大人になれない"側面があるのもまた事実なので仕方ない部分もあった。


まあドラクエ8のククールみたいな奴ならオレと同じ左利きだし許せるが、一般的なホストなんて時代から生えたカビみたいな奴しかいないわけで、ああいう連中と一緒にされるのはちょっとみたいな気分ではある。タモリみたいな人も広義の意味での「ホスト」に分類されるのであればもちろんオレもホスト型コンピューターで、自分の世界を持ちすぎちゃってるから、既存の価値観や流行に素直に従おうとするクライアント型にはおよそ向かないタイプではある。


そしてシンママつながりで子供を産むことに対する是非や、最近常々口にしている「まあ別に生まれてきたこと自体にはまったく感謝なんてしたくもないが、美味い飯とか牛とかエアコンにはさすがに感謝しないとまずいよなあ」という、親に対する恨みと感謝との間の葛藤の要素を加え、最近の過保護な風潮や日本の家庭によくある親子間の共依存の問題なども加えていき、デモ録音にもバッチリ鳴き声が入ってるセミの要素も取り入れた。

子孫を残そうと必死なセミ

ミンミンゼミナール  win-winゼミ

条件付きの愛情を求めて夏期講習を受ける未来の爺さん婆さん

こんな時代に子供産みたくない

でも他人の子供に介護されたい

生まれてきたくなかったけど

美味い飯とエアコンに感謝

共依存のニワトリ親子

貝で作った過保護ヘルメットに盛られた

ダシの効いた親子丼と共生関係

共倒れしないしないようにチカラをつけよう


話をアパートの隣人に戻して、オレとその両隣の誰かが攻撃の応酬から一歩退いて、ドアに「こっちにも非があった。すまない。ボロアパートに住む底辺同士仲良くしよう」と張り紙を貼るだけで圧倒的なまでに居心地がよくなり、メンタル状態も良くなり身体も健康になるというにも関わらず、誰もそれをやろうとしない。オレは何度かそれを実行しようとしたがなかなか勇気が出なかったり、いつも自分ばかり必要以上に他人に気を使いすぎて損してきた腹いせから意地になっていた。アパートの件以外でも人生においてそういう、「たった一言でいいから冷静に相手に伝えれてれば」というシーンはくさるほどあった。だが自分の臆病のせいでほとんどいつも台無しにしてきた。最近はネットの誹謗中傷などから他者への猜疑心が拡散し、本当は愛情を求めてるのにわざとやさぐれたりクールぶってる人間が増えたが、それでいて自分からは何も与えようとしない奴が多い。実際には与えたくても勇気がない、ネットに汚染されてキモくなった人間のリアクションなんて期待するだけ無駄、そんな風に思いながら生きてる人間もたくさんいるだろう。昔はもっと人に対してオープンだったオレも今ではすっかり塞ぎ込んでしまっている。


そういうことを背景に、つなぎパートの「競い合い/譲り合い 奪い合い/与え合い」の部分を作った。こういう「ギブアンドテイク」論には、出会い系の影響や、最近SNSでコラボ相手を求めてDMを送りまくったがフォロワーが30人しかいない奴と無償でコラボしてくれるなんていう優しい人間など皆無で、ビジネス的な返信を返され、「お前は金のために音楽を始めたのか?」と思ったりしていた体験にも影響されている。


以上のメモを連想して繋ぎ合わせると


「お互いサマー」歌詞スケッチ by 紀伊原ひろ


といった具合いに段々とまとまってきて、その結果、「夏、シャツを道具屋で売った金で買ったビーサンを装備してグルメ界を旅しながら捕食者を退治して食べ歩いてる内に人間界は冬になったがグルメ半球は依然として夏だから肝試しついでにハロウィンとクリスマスをお祝いして、ただ靴下を欲しがるだけでは倫理上の問題が生じるから私どもサタンといたしましても何かを与えようではありませんか。と、その前にここは暑くてかなわんわい。水だ!!水をくれ!!!濡れ場はどこじゃあ!!」

『お楽しみ頂くためにはそれ相応のポイントを消費していただきます』

「この世の全ての爺っちゃんの名にかけて、いただきます🙏🏼

『世の中金ですよ、金。分かりますかな金田さん』

「あなたは少々口が臭いですね」

『それはお互い様です。持ちつ持たれつというやつですよ、分かりますかな金田さん』

「すみません、セミがうるさくてよく聞こえませんでした」

『それでは彼らが鳴き止むまでしりとりでもいかがでしょうかゼミ!!』

「耳」

『ミンミンゼミ』

「右耳」

『見事ですね

「いや、ゴトーさんほどでは。。」

『金田さん

「ゴトー

そこへ突如鏡の中から現れた月姫が、ゆっくりと二人の方へ歩み寄る。


緊張が走る———


「あらお二人様月が綺麗ね」


——刹那、



といった内容の曲が出来上がった。

(ドラクエ、トリコ、金田一少年の事件簿、HUNTER×HUNTERより一部抜粋)


あとはSummerSmell(匂い、嗅ぐ)Smileに変えたり、DQ2をフィーチャーした3番だけSmileSlimeに変えたりして韻を踏み、「お互い様」と「居酒屋」から連想した「おひとり様」を加えて、1番から順に人数を増やして行った。これは勇者のひとり旅にはじまり、3人パーティ、4人、8人と増えていったDQシリーズへのオマージュでもある。


このようにして歌詞は完成した。(実際に完成したのは翌日の昼過ぎだった)


一見すると適当にふざけて作ったように見えたり小中学生向きに見えたりしつつも実際には意外と深い意味や多重の意味が込められていて、個人的にはけっこう気に入ってるのだが、曲のリリース後に(お互いのことをよく知らない)幼馴染みの女性に聴かせたら「何が言いたいのかよく分からなくていまいちパッとしない」「テキトーっぽい」と言われてしまい、「まあ一般ウケを狙ってテキトーに作ったしな」と言って平然を装ったが実のところかなり凹んだ次第である。その後Twitter(X)で「幼稚でくだらない馬鹿げた曲を作っちまった」と呟いたりしていた。さらに、当時この曲の宣伝のためにSNSに再登録して、どうでもよかったりキモかったり馬鹿だったりする奴らをフォローしまくったりイイネを付けまくっていたことも馬鹿らしくなってしまい、Twitter Blueに課金したばかりのアカウントを削除し、インスタも削除した。


こういう、いろんな要素を詰め込みすぎて意図が分からなくなる的なミスは多くのアーティスト、漫画家、小説家、脚本家が一度は犯す過ちで、大御所でさえこの手のミスはする。オレがこの前ハマっていた(シックス・センス等で有名な)ナイト・シャマラン監督の珍作「レディ・イン・ザ・ウォーター」もまた然り。だがあれはあれで「ある種の一貫性や世界観を持ちながらもとりとめがない夢」を見ているようで駄作とは思わない。自由連想の抽象画だと思えば悪くはなかったし、オレのこの曲もそういうことにしておく。とはいえ自己満感は否めないかもしれない。曲がシンプルなだけに少々歌詞を凝りすぎてしまった。


何はともあれ「一般リスナーはあまり歌詞を深読みしないから、一般ウケ狙いたいならもっと直接的で分かりやすい歌詞にしたほうがいいんだな」という教訓にはなった。


こうやってみるとオレじゃなくて一般人のほうが(言葉を表面的に解釈する)アスペルガーっぽく見えるがまあ人間なんて誰でもアスペルガーっぽい部分はあるのだろう。というか幼馴染みのやつ、アスペルガーっぽいな前々から薄々感じてはいたが。接し方を工夫せねばなるまい


ちなみにもう何年も見てない某掲示板その他ネット上では空気読めない奴を「アスペ」と言って貶すことがあるが、オレは「アスペ」とは略さない。ドラクエの主人公の名前を「アスペル」にすることは時々ある。勇者っぽくてかっこいいしな。


オレも確かにアスペル傾向があるが、それは直接相手と会話してる時、それも感情が絡んでくる場合の話(女の褒め言葉にすぐデレデレしてしまう)で、小説とか、他人同士の会話などではむしろ一般人よりも空気や真意を読むし、自分や他人の行動や言動を見聞きした時に、どういうきっかけでその行動や言動に至ったのかを結果(現在)から過去へと逆算していって導き出すというのが好きというか、実際に発狂して精神病院に入院するくらいそういう、HUNTER×HUNTER的な思考になる癖がある。


当然、他人の作品の歌詞やプロットを深読みしたり、どういう経緯でこういうキャラを用意してこういう展開になったのかみたいに逆算するのも好きだからそういう感覚で今回も歌詞を作ったが、結果的に一般人と自分の感覚・感性の差に絶望することとなった。しかしこの解説を読んで「なるほど!」みたいになってくれる人もいるだろうからめげずに頑張るつもりではありますが、すみませんが体調不良につき来週も再来週もずっと休載させていただきます。Oh, Yeah  (広瀬香美「ロマンスの神様」より一部抜粋)


つづく


🏷️  お互いサマー  音楽制作  歌詞  ドラクエ  HUNTER×HUNTER  トリコ  出会い系  アスペルガー  SNS

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